公共工事の入札に参加するには?建設業許可から経審・入札までの流れを解説

公共工事の入札に参加するには?建設業許可から経審・入札までの流れを解説

「これから公共工事を受注したいけれど、何から始めればよいのか分からない」

「建設業許可や経営事項審査が必要と聞いたが、手続きの順番が分からない」

このようなご相談を受けることがあります。

国や都道府県、市町などが発注する公共工事の入札に参加するためには、原則として建設業許可を取得したうえで、経営事項審査を受け、希望する発注機関へ入札参加資格審査を申請する必要があります。

大まかな流れは、次のとおりです。

  1. 建設業許可を取得する
  2. 毎年、決算変更届を提出する
  3. 経営状況分析を受ける
  4. 経営事項審査を受ける
  5. 入札参加資格審査を申請する
  6. 入札参加資格者名簿に登載される
  7. 入札案件を探して参加する

この記事では、それぞれの手続きの細かな内容ではなく、公共工事の入札に参加できるようになるまでの全体の流れを分かりやすく解説します。

公共工事は、建設業許可を取っただけでは受注できません

建設業許可を取得すると、一定規模以上の建設工事を請け負えるようになります。

しかし、建設業許可を取得しただけで、すぐに公共工事の入札へ参加できるわけではありません。

公共工事を発注者から直接請け負うためには、一般的に次の2つの審査を受ける必要があります。

  • 建設業者の経営状況や施工能力などを客観的に評価する「経営事項審査」
  • 国、都道府県、市町などの発注機関が行う「入札参加資格審査」

つまり、建設業許可は公共工事へ参入するための出発点であり、その後にも複数の手続きが必要になります。

公共工事の入札に参加するまでの全体の流れ

STEP1 建設業許可を取得する

最初に、入札へ参加したい工事の業種に対応する建設業許可を取得します。

建設業許可には、土木一式工事、建築一式工事、電気工事、管工事、舗装工事など、工事内容に応じた業種があります。

例えば、舗装工事の入札に参加したい場合は、原則として舗装工事業の許可が必要です。すでに建設業許可を持っていても、希望する工事に対応する業種の許可がなければ、その業種の入札参加資格を得られないことがあります。

そのため、まずは「どの発注機関の、どのような工事を受注したいのか」を整理し、必要な許可業種を確認することが重要です。

建設業許可を取得するためには、営業所技術者等の配置、経営業務の管理体制、財産的基礎などの要件を満たす必要があります。

STEP2 決算終了後に決算変更届を提出する

建設業許可を取得した事業者は、毎事業年度の終了後、決算内容を許可行政庁へ届け出なければなりません。

この届出は、一般に「決算変更届」または「事業年度終了届」と呼ばれています。

香川県知事許可の場合は、原則として事業年度終了後4か月以内に提出します。

決算変更届には、主に次のような書類を添付します。

  • 工事経歴書
  • 直前3年の各事業年度における工事施工金額
  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 完成工事原価報告書
  • 株主資本等変動計算書
  • 注記表
  • 事業報告書

法人・個人の違いや会社の状況によって、必要書類は異なります。

経営事項審査では、この決算変更届に記載した完成工事高や財務諸表などが審査の基礎になります。そのため、工事実績の業種区分や財務諸表の作成方法が、後の審査結果に影響することがあります。

STEP3 経営状況分析を申請する

経営事項審査を受ける前に、国土交通大臣の登録を受けた「登録経営状況分析機関」へ経営状況分析を申請します。

経営状況分析では、建設業者の財務内容をもとに、収益性、負債に対する抵抗力、資金繰りなどが数値で評価されます。

分析が完了すると「経営状況分析結果通知書」が交付されます。この通知書は、経営事項審査を申請する際に必要です。

経営状況分析は、会社の決算書を提出すれば自動的に完了するものではありません。建設業用の財務諸表を作成し、登録経営状況分析機関へ申請する必要があります。

STEP4 経営事項審査を受ける

経営状況分析の結果が出たら、建設業許可を受けている行政庁へ経営事項審査を申請します。

経営事項審査は、一般に「経審(けいしん)」と呼ばれています。

経審では、主に次のような項目が評価されます。

  • 工事種類別の完成工事高
  • 自己資本額や利益額
  • 経営状況
  • 技術職員の人数や資格
  • 社会保険への加入状況
  • 建設業退職金共済制度への加入状況
  • 防災協定や法定外労災補償制度などの社会性
  • 建設機械の保有状況
  • 建設業の経理に関する状況

審査後は「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」が交付されます。

この通知書に記載される「総合評定値(P点)」は、入札参加資格審査における格付けなどの基礎となる重要な点数です。

なお、経営事項審査の結果には有効期間があります。公共工事を継続して直接請け負う場合は、有効期間に切れ目が生じないよう、原則として毎年、決算後に経審を受ける必要があります。

STEP5 発注機関へ入札参加資格審査を申請する

経営事項審査を受けただけでは、まだ個別の入札には参加できません。

公共工事を受注したい国、都道府県、市町などへ、入札参加資格審査を申請する必要があります。

例えば、香川県が発注する工事へ参加したい場合は香川県へ、三豊市が発注する工事へ参加したい場合は三豊市へ、観音寺市が発注する工事へ参加したい場合は観音寺市へ、それぞれ申請します。

入札参加資格は、すべての発注機関に共通するものではありません。複数の自治体の入札へ参加したい場合は、原則として発注機関ごとに申請が必要です。

また、申請の受付時期、必要書類、有効期間、審査基準も発注機関によって異なります。

香川県の場合、入札参加資格審査は随時受け付けられているわけではありません。決められた受付期間内に申請する必要があるため、募集時期を確認して準備を進めることが大切です。

STEP6 入札参加資格者名簿への登載・格付け

入札参加資格審査を通過すると、発注機関の入札参加資格者名簿へ登載されます。

発注機関によっては、経営事項審査の総合評定値に、その発注機関独自の評価点を加えて総合点数を算出し、業種ごとに等級やランクを決定します。

香川県の建設工事では、経営事項審査の総合評定値と技術評価点数の合計によって格付けが行われます。

格付けによって参加できる工事の予定価格帯などが異なる場合があります。そのため、入札参加資格を取得すれば、あらゆる工事へ自由に参加できるわけではありません。

希望する工事の業種、地域、金額、施工実績、技術者の配置など、個別の入札公告に記載された条件を満たす必要があります。

STEP7 電子入札の準備をする

現在、多くの発注機関では電子入札が導入されています。

実際に電子入札へ参加するためには、一般的に次のような準備が必要です。

  • 電子入札に使用するパソコンやインターネット環境
  • 電子証明書を格納したICカード
  • ICカードリーダー
  • 電子入札システムの利用者登録
  • 発注機関から交付されるID・パスワードの管理

ICカードの取得や利用者登録には時間がかかることがあります。

入札したい案件が見つかってから準備を始めると、参加期限に間に合わない可能性があります。入札参加資格を取得する手続きと並行して、早めに電子入札の環境を整えておきましょう。

STEP8 入札案件を探して参加する

入札参加資格者名簿に登載され、電子入札の準備ができたら、発注機関の入札情報システムなどで案件を探します。

参加を希望する案件が見つかったら、入札公告や設計図書を確認し、参加条件を満たしているか判断します。

入札方式によっては、事前に参加申請書や施工実績、配置予定技術者に関する書類などを提出しなければなりません。

入札後、落札者に決定すれば、契約保証などの手続きを行い、発注機関と工事請負契約を締結します。

入札参加までには、どのくらいの期間がかかる?

建設業許可を持っていない事業者が、許可取得から入札参加を目指す場合、すぐに入札できるようになるとは限りません。

必要な期間は、次のような事情によって異なります。

  • 建設業許可の要件を満たしているか
  • 希望する工事業種の許可を持っているか
  • 決算変更届を提出しているか
  • 経営事項審査を受けられる状態か
  • 入札参加資格審査の受付時期
  • 電子入札の準備状況

特に注意が必要なのが、入札参加資格審査の受付期間です。

発注機関によっては、定期申請や追加申請の時期が決められており、受付期間を逃すと次回まで申請できない場合があります。

公共工事への参入を検討している場合は、「いつ頃から入札へ参加したいのか」から逆算して準備を始めることをおすすめします。

入札参加後も毎年の手続きが必要です

一度入札参加資格を取得すれば、その後は何もしなくてよいわけではありません。

公共工事を継続して受注するためには、主に次の手続きを続ける必要があります。

  • 毎事業年度終了後の決算変更届
  • 毎年の経営状況分析
  • 毎年の経営事項審査
  • 入札参加資格の更新
  • 許可事項や入札参加資格申請事項に変更があった場合の変更届
  • 建設業許可の更新

特に経営事項審査は、結果通知書を受け取った日からではなく、審査基準日である決算日から有効期間が計算されます。

手続きが遅れると経審の有効期間に空白が生じ、公共工事を契約できない期間が発生する可能性があります。毎年の決算日を基準に、計画的に手続きを進めることが重要です。

公共工事への参入は、最初の計画が重要です

公共工事の入札へ参加するまでの基本的な流れをまとめると、次のようになります。

建設業許可の取得
↓
決算変更届の提出
↓
経営状況分析
↓
経営事項審査
↓
入札参加資格審査
↓
入札参加資格者名簿への登載
↓
電子入札の準備
↓
個別案件への入札

それぞれの手続きは独立しているように見えますが、実際には前の手続きの内容が次の審査につながっています。

特に、建設業許可の業種、工事経歴書の内容、完成工事高、技術職員の資格などは、経営事項審査や入札参加資格の格付けにも関係します。

そのため、目の前の申請だけでなく、「将来、どの発注機関のどの工事を受注したいのか」まで考えて準備することが大切です。

香川県で公共工事への参入をお考えの事業者様へ

山岡正士行政書士事務所では、香川県三豊市・観音寺市を中心に、建設業者様の手続きをサポートしています。

  • これから建設業許可を取得したい
  • 公共工事への参入を検討している
  • 経営事項審査を初めて受けたい
  • 決算変更届から経審までまとめて依頼したい
  • 香川県や市町の入札参加資格を取得したい
  • どの手続きから始めればよいか分からない

このような場合は、現在の許可状況や決算時期、希望する工事業種などを確認したうえで、必要な手続きとスケジュールをご案内します。

公共工事への参入は、準備の順番とタイミングが重要です。まずはお気軽にご相談ください。

※入札参加資格の要件、受付時期、必要書類、有効期間などは、発注機関によって異なります。申請の際は、必ず最新の申請要領をご確認ください。