経管の常勤性とは?証明方法をわかりやすく解説

経管の常勤性とは?証明方法をわかりやすく解説

建設業許可申請で最も誤解が多いポイント

はじめに

建設業許可の申請で、経営業務管理責任者(経管)がいるだけでは不十分であることをご存じでしょうか。

実は審査では、

「その人が本当に常勤しているかどうか
が厳しくチェックされます。

「経管の要件は満たしているはずなのに、なぜか申請が通らない」
その原因の多くが、この“常勤性”の問題です。

この記事では、

  • 常勤とは何を意味するのか
  • どのような書類で証明するのか
  • よくあるNG事例
    を、分かりやすく解説します。

1️⃣ 「常勤」とはどういう意味?

建設業法における「常勤」とは、
通常の勤務時間において、継続的にその会社に勤務していることをいいます。

つまり、次のような人は「常勤」とは認められません。

  • 他の会社でもフルタイムで働いている
  • 実態のない“名ばかり役員”
  • 週に数日しか出勤していない
  • 事実上、別の事業で生計を立てている

特に「勤務実態」が重視され、
書類上だけの常勤は通用しません。

2️⃣ 経管に「常勤」が求められる理由

建設業は、

  • 多額の請負金額
  • 工期の厳守
  • 安全管理
    など、経営判断が事業の成否を大きく左右します。

そのため、

「経営の責任者が会社に常時在籍していること」
が、法令上の大前提とされています。

つまり、非常勤の経管=不適格という考え方です。

3️⃣ 求められる主な「常勤性の証明書類」

経管の常勤性は、以下の複数の書類を組み合わせて総合判断されます。

書類
健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書
健康保険・厚生年金被保険者資格取得確認通知書
住民税特別徴収税額通知書・変更通知書
厚生年金保険70歳以上被用者該当・不該当届
厚生年金保険70歳以上算定基礎月額変更・賞与支払届

✅ 法人の場合は、原則健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書で確認されます。
✅ 個人事業主の場合は、「所得税の確定申告書」と「事業開始届」で判断されます。

4️⃣ 香川県で実際にあった「常勤性NG」事例

❌ 事例①:別会社の社長を兼ねていたケース(高松市)

  • A社:建設会社の経管
  • B社:全く別業種の会社社長

健康保険はB社で取得しており、
「建設会社に常勤しているとは認められない」と判断され、申請は不許可に。

❌ 事例②:社会保険に未加入(観音寺市)

  • 経管は確かに毎日出勤
  • しかし法人なのに社会保険未加入

→ 「常勤している証明にならない」として差し戻し
→ 社保加入後に再申請で許可取得。

❌ 事例③:名義だけの役員(三豊市)

  • 経管に名前を貸しているだけ
  • 実際の経営は別の人物

→ 書類審査とヒアリングで発覚
虚偽申請の疑いで厳重注意

5️⃣ 常勤と認められるためのチェックリスト

次の項目をすべて満たしていれば、常勤性は高確率で認められます。

  • ✅ 会社の健康保険・厚生年金に加入している
  • ✅ 平日ほぼ毎日出勤している
  • ✅ 他社でフルタイム勤務していない
  • ✅ 継続的に役員報酬または給与を受け取っている
  • ✅ 経営判断に実際に関与している

1つでも欠ける場合は、事前に対策が必要です。

6️⃣ 「常勤性」は専任技術者にも共通

常勤性の考え方は、専任技術者についても同様です。

  • 経管 → 経営に専念
  • 専任技術者 → 施工・技術に専念

どちらも「非常勤」では許可は下りません。
経管・専技の両方について常勤確認が行われます。

7️⃣ これから許可を取る方が注意すべきポイント

これから建設業許可を申請する方は、次の点を特に意識してください。

  1. 許可申請前に社会保険の加入状況を必ず確認
  2. 経管を形式上だけ選ばない
  3. 兼業・副業がある場合は事前相談をする
  4. 「とりあえず出してみる」は絶対にNG

早い段階で専門家に相談すれば、
不許可や差し戻しのリスクはほぼ回避できます。

まとめ

重要ポイント内容
常勤とは継続的に勤務している実態が必要
単なる名義や非常勤はNG特に厳格
社会保険加入が最大の証明資料健康保険証が最重要
他社との兼任は原則不可フルタイム勤務の重複はNG
事前確認が最重要差し戻し・不許可を防ぐ

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  • 行政書士 山岡正士