経営業務管理責任者とは？要件と実務例

はじめに

建設業許可を取得するうえで、最も重要かつ誤解の多い項目が
**「経営業務の管理責任者（経管）」**です。

この経管の要件を満たしていないと、どれだけ実績や技術力があっても許可は下りません。
香川県での申請でも、審査で最も時間を要する部分の一つです。

この記事では、経営業務管理責任者の役割・要件・具体的な実務例を解説します。

経営業務管理責任者とは、

建設業の経営に関して十分な知識と経験を有し、会社を適切に運営できる人物

のことです。

建設業は「工事を請け負う責任」が重いため、
単に技術者がいればいいというものではなく、経営経験者の存在が求められています。

つまり、「技術面の責任者＝専任技術者」、「経営面の責任者＝経管」という関係になります。

経管になるには、次のいずれかの条件を満たす必要があります。

対象者	経営経験年数	備考
個人事業主	同一業種で5年以上の経営業務経験	現在または過去に建設業を営んでいたこと
法人役員	同一業種で5年以上の経営業務経験	取締役や執行役員など実質的に経営に関与していたこと
支配人・役員補佐	同一業種で6年以上の経営業務経験	証明書類で補佐業務を示す必要あり

「名義上の役員」ではなく、
実際に経営に関与していたかどうかが重視されます。

経管に求められる「経営業務」とは、次のような仕事を指します。

つまり、**現場の責任者ではなく「経営を動かす立場」**であったことが重要です。

申請の際には、経営経験を裏付ける書類が求められます。
以下のような書類が有効とされています。

※ 個人事業主の場合は、「確定申告書の控え＋請求書の写し」が最も一般的な証明方法です。

審査では、特に以下の点に注意が必要です。

Q1：社長が経管になれない場合はどうすればいい？
→ 取締役や幹部社員で経営経験がある人を経管にできます。

Q2：親の会社で働いていた息子が経管になれますか？
→ 実際に経営に関与し、補佐していた期間が6年以上あれば可能です。

Q3：個人事業から法人化した場合の経験は通算できる？
→ はい。同一業種であれば通算可能です。

経管が退職・死亡した場合、そのままでは建設業許可を維持できません。
速やかに**「経営業務管理責任者変更届」**を提出し、
新たな経管を選任する必要があります。

選任が遅れると、許可取消になるケースもあります。

経管＝経営面の責任者
専任技術者＝技術面の責任者

この2人が会社に常勤していることが、許可の基本構造です。
一人で両方を兼ねることも可能ですが、その場合は要件を両方満たす必要があります。

三豊市の設備会社A社では、創業者が70代で引退する際、
息子が後継者として経管に就任しました。

経管の世代交代は時間がかかるため、早めの準備が大切です。

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