目次
- 建設業許可におけるリスクと正しい対応方法
- はじめに
- 1️⃣ 経管が退職すると「即アウト」になるのか?
- 2️⃣ 経管退職時に発生する主なリスク
- ❌ リスク①:許可の取消・営業停止
- ❌ リスク②:新規工事の受注ができなくなる
- ❌ リスク③:公共工事・入札資格の停止
- 3️⃣ 経管が退職したときに必ずやるべき手続き
- ✅ ① 経営業務管理責任者変更届の提出
- ✅ ② 新たな経管の早急な選任
- 4️⃣ 実務上の「猶予期間」
- 5️⃣ 「後任がすぐに見つからない」場合の現実的対応
- 6️⃣ 実際にあったトラブル事例
- 【事例】三豊市の建設会社での経管退職トラブル
- 7️⃣ 経管退職リスクを防ぐための「事前対策」
- 8️⃣ 専任技術者が退職した場合も同様に危険
- まとめ
建設業許可におけるリスクと正しい対応方法
はじめに
建設業許可を支える最重要人物、それが**経営業務管理責任者(経管)**です。
この経管が、
- 退職した
- 病気で長期離脱した
- 役員から外れた
といった状況になると、建設業許可そのものが危険な状態に陥ります。
香川県でも、経管の退職をきっかけに
「許可が取り消されそうになった」
「元請から取引停止を受けた」
というケースが実際に起きています。
この記事では、
✅ 経管が退職した場合のリスク
✅ 会社が取るべき正しい対応
✅ 実務上の注意点
を分かりやすく解説します。
1️⃣ 経管が退職すると「即アウト」になるのか?
結論から言うと、経管が退職した瞬間に、建設業許可の要件を欠く状態になります。
建設業許可は、
- 経営業務管理責任者
- 専任技術者
が「常勤で在籍していること」が前提です。
そのため、経管が不在になった場合は、
許可の維持要件を満たしていない状態=“無資格状態”
となります。
ただし、「即時取消」ではなく、一定の是正期間が設けられるのが実務上の運用です。
2️⃣ 経管退職時に発生する主なリスク
❌ リスク①:許可の取消・営業停止
経管が欠けたまま是正されない場合、
建設業法第29条に基づき、
- 許可の取消
- 営業停止処分
の対象となる可能性があります。
❌ リスク②:新規工事の受注ができなくなる
経管不在の状態は、
「建設業許可の要件を満たしていない会社」
とみなされるため、元請企業や金融機関から
- 新規契約の停止
- 与信の見直し
が行われるケースがあります。
❌ リスク③:公共工事・入札資格の停止
経管が不在になると、
入札参加資格から外される可能性があります。
一度外れると、再登録までに時間がかかるため、経営への影響は非常に大きくなります。
3️⃣ 経管が退職したときに必ずやるべき手続き
経管が退職した場合、最優先で次の2点を行う必要があります。
✅ ① 経営業務管理責任者変更届の提出
経管が変更になった場合は、
変更後30日以内に「経営業務管理責任者変更届」を提出します。
ただし、
「後任の経管がまだ決まっていない状態」
であっても、退職の事実は必ず届出が必要です。
✅ ② 新たな経管の早急な選任
同時に、後任の経管をできるだけ早く選任しなければなりません。
新しい経管には、
- 同一業種での経営経験5年以上
- 常勤性
- 誠実性
が求められます。
4️⃣ 実務上の「猶予期間」
経管が退職した場合、
おおむね2〜3か月程度の是正期間が与えられるケースが多いです。
ただし、これは
- すぐに後任を探しているか
- 行政庁と誠実に連絡を取っているか
によって大きく左右されます。
何の連絡もなく経管不在の状態を放置すると、
是正命令 → 許可取消と進むリスクが一気に高まります。
5️⃣ 「後任がすぐに見つからない」場合の現実的対応
経管の後任がすぐに見つからない場合、次の選択肢が考えられます。
| 対応策 | 内容 |
|---|---|
| 代表者が経管になる | 代表が過去に5年以上の経営経験を有する場合 |
| 社内昇格 | 管理職・親族などが経営補佐経験6年以上ある場合 |
| 事業承継型 | 先代から後継者へ段階的承継 |
| 一時的な事業縮小 | 許可が必要な工事を一時停止 |
※ 外部から経管を「名義だけ借りる」行為は違法のリスクが極めて高いため、絶対におすすめできません。
6️⃣ 実際にあったトラブル事例
【事例】三豊市の建設会社での経管退職トラブル
- 創業社長が突然引退
- 後任が決まらないまま2か月放置
- 土木事務所から是正指導
- 急いで後任を立てたが、証明書類が不足して間に合わず
結果:
👉 一時的に許可の効力停止扱いとなり、元請との契約が白紙に。
このケースでは、事前に後継者育成をしていなかったことが最大の原因でした。
7️⃣ 経管退職リスクを防ぐための「事前対策」
今すぐできる対策は次の5つです。
- 経管が誰かを社内で明確に共有する
- 経管の年齢・健康状態を把握しておく
- 後継候補を1名以上、常に意識して育成する
- 経管の証明書類を定期的に整理・保存する
- 行政書士など専門家と継続的に連携する
「問題が起きてから相談」では、間に合わないケースも非常に多いのが実情です。
8️⃣ 専任技術者が退職した場合も同様に危険
なお、同じことは専任技術者が退職した場合にも当てはまります。
- 経管=経営の要
- 専任技術者=技術の要
このどちらが欠けても、建設業許可は維持できません。
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 経管が退職すると | 許可要件を欠く状態になる |
| 放置すると | 是正命令 → 許可取消のリスク |
| 必須手続き | 経管変更届(30日以内) |
| 猶予期間 | 概ね2〜3か月 |
| 最大の対策 | 後継者の事前育成 |
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- 行政書士 山岡正士
